硫酸辞典
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あ
亜鉛鉱(Zinc blende)
セン亜鉛鉱が最も重要で、精鉱の亜鉛含有量は約50%、硫黄30〜32%程度。亜鉛製錬の焙焼炉及び焼結機のガスは硫酸の製造に使用される。
硫黄(Sulfur S)
常温では普通黄色の結晶状で融点112.8〜119.3℃、沸点444.5℃、95.6℃以下では斜方晶系、それ以上では単斜晶系が安定な形態である。天然の硫黄は噴火口付近に昇華析出するか、火山岩、凝灰岩中に塊状をなすか、それらの間にしみ込んだ形態で産出する。アメリカ、メキシコ、ポーランドなどでは地下の硫黄鉱床に熱水を送入し溶融して汲み上げるフラッシュ法により生産され、イタリーなどでは硫黄鉱の乾留、融解、溶剤抽出などによって生産されていた。その他天然ガス中に含まれる硫化水素をクラウス法またはそれに類似の方法で処理して硫黄を製造する方法がカナダ、アメリカ、旧ソ連などで大規模に行われ、また石油中に含まれる硫黄を水素処理によって硫化水素とし、天然ガスと同様の方法で硫黄を製造する方法も行われるようになった。天然ガスや石油から産出した硫黄を回収硫黄というが、わが国で回収硫黄と称するのは石油から回収されたもののみをいう。
硫黄鉱(Sulfur ore)
元素硫黄を主成分とする鉱石をいい、俗に土硫黄という。硫化鉄鉱を随伴するものもある。日本ではかつて硫黄製造用、硫酸製造用原料とされた。
硫黄炉(Sulfur burner)
硫黄を直接燃焼させる炉で、燃焼室を設け二次空気を入れて完全燃焼させるようになっている。粉末状態で供給する方式と日本の硫酸工場で採用されている融解状態で供給する方式があるが、大規模なものは後者を用いる。
薄硫酸(Dilute sulfuric acid)
約80%以下の硫酸をいい、硝酸式による硫酸はこれに属し、接触式硫酸に比べ一般に不純物が多い。現在は濃硫酸の希釈による製品が大部分である。→規格
黄鉄鉱(Iron pyrite FeS2
黄色、比重4.5〜5.2、硬質(モース)6〜6.5、硫酸の主原料である硫化鉄鉱はこの鉱物を主成分とする。
黄銅鉱(Chalcopyrite CuFeS2
銅の最も重要な鉱物で、硬度3.5〜4、比重4.1〜4.3、色は金属光沢、真鍮状の黄色、しばしば錆色を呈する。黄鉄鉱、菱鉄鉱、四面銅鉱などと密に結合し、また磁硫鉄鉱、方鉛鉱など重要金属鉱物と共に産出する場合がある。
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さ
三酸化硫黄(Sulfur trioxide SO3
無水硫酸ともいう。接触式硫酸製造において転化器を出たガス中に7%前後含まれる。100%のSO3は発煙硫酸の蒸留によって得られる。固体にはα、β、γの3種の変態がある。α型とβ型は常温では固体で取扱いにくいのでγ型の液体を保つようにしたのが安定化液体無水硫酸である。
硝酸式製造法(Nitration process)
酸化窒素を触媒としてSO2ガスから硫酸を製造する方法。製品濃度は60〜80%で、薄硫酸と称する。接触式に比し建設費は安いが製品は濃度と純度の点で劣る。グロバー塔とゲールサック塔の間に鉛室を設置する鉛室式と、塔のみからなる塔式とがある。現在わが国では行なわれていない。
精製硫酸(Refined sulfuric acid)
不純物の少ない硫酸。試薬、医薬、蓄電池などに使う。通常は接触式装置の転化ガス及び精製水を原料とし、耐酸磁器または特殊ガラス製の吸収塔、冷却器、ポンプなどを用いて造られる。→規格
石こう(Gypsum)
天然に産出するものは、CaSO4 (無水石こうあるいは硬石こう) とCaSO4・2H2Oとがある。りん酸製造を始めとする化学工業の副産物として得られるものは2、1と2分の1、1分子の結晶水を含むものがある。単に石こうといえば2分子の結晶水を含むものをいう。セメント、石こうボード、石こうプラスター、焼石こうなどの原料となる。
接触式製造法(Contact process)
バナジウム触媒を用いて二酸化硫黄を酸化し硫酸を製造する方法。モンサント式、ルルギ式、ケミコ式、パーソンズ式、日産式、三菱化学式、住友化学式など諸種の方式がある。純度の高い濃硫酸を得られるのが特長であるが、硝酸式より建設費は若干高く、硫黄効率はやや低い。ただし二重接触式では転化率が高いので硫黄効率は硝酸式と同程度に高い。
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た
脱硫(Desulfurization)
狭義には石油中の硫黄分を除去する方法の総称。ガソリンから潤滑油、重油に至る広範囲に応用される。方法としてはアルカリ洗浄法、溶剤脱硫法、接触脱硫法がある。アルカリ洗浄法はガソリンなどの軽質油に適用される。溶剤脱硫法は現在ほとんど用いられていない。接触脱硫法は触媒を用いる方法で、近年水素気流中で水添脱硫処理する水素精製法が発達し、ガソリン、灯軽油、潤滑油及び重油の各油種に広く応用されている。脱硫方式は間接と直接に区分できるが、いずれも水素処理によって生成した硫化水素は接触反応によって元素硫黄とする。→硫黄
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な
二酸化硫黄(Sulfur dioxide SO2
亜硫酸ガス、刺激臭のある無色の気体。比重2.264(空気=1)、融点−75.5℃、沸点−10℃、臨界温度157℃、臨界圧78atm。 溶解度は水1容に対し、78.9容(0℃)、39.4容(20℃)、0容(100℃)。 酸化ならびに還元作用があるが特に後者が著しい。硫酸工場で取扱う原料ガスは10%前後の場合が多い。硫黄酸化物の一つとして大気汚染の主役を演ずるものとされ、燃料の燃焼のほか種々の製造工業からの排ガス中に含まれる二酸化硫黄は回収ないしは除害の対象となっている。
二重接触式(Double contact process)
ダブルコンタクトともいう。従来の方式では転化器を出たSO3ガスは熱交換器を経て吸収塔で吸収され、転化率は98%程度であるが、二重接触式は転化器中間から一旦転化ガスを抜き出して中間吸収塔に導き、中間吸収塔を出たガスは熱交換の上再度転化器に入れて残りの転化を行なわせ、最終吸収塔でSO3を吸収させる。転化率は99.5%以上に達し、煙害解決の一助、硫黄得率の向上などの利点がある。基本技術はバイエル社(ドイツ)が有し、種々の方式が実施されている。
濃硫酸(Concentrated sulfuric acid)
薄硫酸に対応する名称で、協会規格では濃度90〜100%の硫酸をいう。接触式硫酸製造工程からの製品がこれに当たる。
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は
排煙脱硫(Flue gas desulfurization)
石炭、重油などの燃焼排ガス、その他化学工程から排出されるガス中の硫黄酸化物を除去する方法を排煙脱硫と称し、わが国はじめ世界各国で実施されている。湿式と乾式があるが湿式の採用が多い。副生品は、硫酸、セッコウ、亜硫曹、芒硝、元素硫黄、亜硫酸ガスなど種々ある。
発煙硫酸(Oleum、Fuming sulfuric acid)
硫酸(H2SO4)にSO3が溶解したもので遊離SO3約30%までのものは普通接触式製造設備の第1吸収塔で製造される。30%を越える高濃度のものは発煙硫酸を蒸留して発生したSO3をさらに発煙硫酸に吸収させて製造する。
バナジウム触媒(Vanadium catalyst)
五酸化バナジウム(V2O5)は硫酸及び無水フタール酸製造の触媒で、硫酸用はV2O5 5〜8%前後を含みケイ藻土またはシリカゲルを担体とし助触媒としてカリを含む。近年、低温活性を賦与するため、セシウム添加触媒が上市された。従来の形状は錠剤形、円柱形が普通であったが、近年リング形、リブ付などが省エネルギーの観点から多く使用されるようになった。触媒の基本使用量は硫酸日産1t当り150〜250リットルである。
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ま
無水硫酸
三酸化硫黄
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ら
硫酸(Sulfuric acid H2SO4
純粋な100%硫酸は比重1.834(18℃)無色油状の液体で、10.5℃で固化する。加熱すると274℃で沸騰し、300℃でSO3を発生して分解しはじめ、317℃で共沸混合物となり、98.54%の水溶液となる。98.33%のものが最高沸点を示す。硫酸は水との親和力が大で任意の割合に混ざる。混合の際発熱する。この種々の濃度のものを一般に単に硫酸という。濃度の高いものは人体に触れると薬傷を起し、種々の化合物にあえば脱水の作用をする。いずれの濃度のものも強い酸の性質をもつ。硫酸には比重によって50°Bé、 60°Bé、65°Bé 66°Béなど、濃度によって発煙硫酸、濃硫酸、薄硫酸、100%硫酸、98%硫酸、95%硫酸、93%硫酸など、製造方式によって鉛室硫酸、塔硫酸、接触硫酸、煮詰硫酸など、純度や状態によって純硫酸、精製硫酸、希硫酸など、用途によって肥料用、工業用、試薬用などの名称がある。硫酸は直接生活とはつながりが少ないが、間接にはすべての工業に関係があり、衣食住はもとより身辺のあらゆるもののほとんどは硫酸が重要な役割を果たしてできている。硫酸の製造原料は硫黄、硫化鉱(黄鉄鉱、黄銅鉱、セン亜鉛鉱、方鉛鉱など)、硫黄鉱、セッコウ、硫化水素、廃硫酸、硫酸鉄、COG、ボイラー排ガスなどが使用されている。硫酸は製品に種々の濃度があるがH2SO4100%に換算して集計される。→規格
硫酸協会規格(Standard of the Sulphuric Acid Association of Japan)
JIS K 1321-1994として規定されていた硫酸規格の廃止に伴い、硫酸協会が1999年に制定した硫酸の協会規格で、あらたに2010年に改訂した。今回の改訂では品質規格は従来のJIS規格値を継承するとともに一部を見直し、分析方法は1999年版全体の見直しを行った。→規格値
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硫酸協会 硫酸について 硫酸を知ろう! 資料 硫酸辞典 出版物
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